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鈴木友哉の映画紹介ブログ
シェラ・デ・コブレの幽霊
2019-08-13-Tue  CATEGORY: ホラー
『シェラ・デ・コブレの幽霊』


幻のカルト作品と言うことで、昔からすごく気になっていたホラー映画。日本国内ではほとんどお目にかけれない貴重な一本。米国においては、試写で失神者が続出し、公開を見送った上、お蔵入りに追い込まれている。作中に出現する亡霊の呻き声や姿が恐ろしいと言う理由で、配給側が劇場での上映にゴーサインを出さなかったと言う過去がある。劇場公開されないケースは、理由は様々あるけど、ごく稀に起こることだ。出演者の不祥事、製作サイドの権利が元の裁判沙汰、監督自身の判断で劇場公開の取り止め、製作費の問題で撮影中止など、あらゆる問題で日の目が出ない作品が数多くある。年間何百本と言う映画が公開されているけど、実際、映画館の巨大スクリーンで観れること自体が、奇跡なのかもしれない。本作もまた、長い間、上映もおろか、ソフト化もされてこなかった。昨年、やっとアメリカでBDが発売された。一般でも観れるまでに、信じられないぐらい、時間がかかった。


ホラー映画史上、最も恐ろしいと噂され続けた本作『シェラ・デ・コブレの幽霊』。確かに、電話口から聞こえる死んだ母親の声は、まるで地獄の底から這い出た怪物のような声でゾッとした。また、足のない亡霊のビジュアルも可視化されていると、噂で聞いている以上に怖かったのは明確だ。でも、この内容とクオリティで果たしてお蔵入りにされる理由がまったく分からない。ストーリーは、死んだはず親の幽霊の存在に悩まされる男性が、心霊研究家を呼んで調査すると言う内容。ホラー映画『死霊館』なんかに似ている作品だ。ただ、まったく怖くないと言えば嘘になるけど、ホラー映画を観慣れている僕からすれば、言うほど怖くない。そもそも輸入版で、字幕がないと、残念ながらストーリーを追いかけることが難しかった。昔学習した経験上、英語を聞くのは問題ないと思ってたけど、役者の癖のある発音のせいで、まったく耳に入ってこなかった。うっかり忘れていたけど、英語の字幕だけでも表示すれば良かったのだろう。リージョンフリーのBDプレーヤーも同時に購入しているので、いつでも観直すことが可能だ。また、近いうちにでも、もう一度観よう。


でも、一番は日本語字幕があれば、もっと楽しめたのだろうと思っている。もっとストーリーも頭に入ってきたに違いない。字幕が、こんなにも大切だったことに、改めて気付かされた。字幕スーパーを考える人の存在が、いかに貴重であるか、再認識させられた。映画を観てて、ふと本作に日本語字幕を付けて、映画祭か、どこかで上映できたら、面白いのだろうと思っている。著作権など、利権の問題もある本作。どうすれば、その壁を越えて、公式に字幕を付けて、上映できるのかが、課題だろう。でも、この事をこれからの目標にしたい。本作『シェラ・デ・コブレの幽霊』に日本語字幕を付けて、どこかの映画祭で上映することも、目標のひとつにしたい。
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ラ・ラ・ランド
2019-08-10-Sat  CATEGORY: 未分類
『ラ・ラ・ランド』

★★★★★ 95点

ミュージカル度 80点


今後、この映画は何十年経っても、語り継がれるだろう名作だ。数年に一度は、必ずと言っていいほど、世に衝撃を与える作品が誕生する。昨年なら『ボヘミアン・ラプソディ』なんかが、その部類だろう。公開中に、信じられないようなヒットを飛ばし、ブームを巻き起こし、誰もが一度は劇場に足を運ぶ社会現象を生み出す映画は、そうそう出てこない。本作は、間違いなく公開時に全国で話題になった映画だろう。誰もが一度は観たことのある、聞いたことのある傑作だ。人によっては『ラ・ラ・ランド』前と『ラ・ラ・ランド』後と言うタームで語られてもおかしくないだろう。例えば、本作を観るまであんまり映画を知らなかったけど、観賞後に本格的に映画を観るようになったとか、色々だ。僕自身も、この作品からはとてつもなく心に強く感じるものがあった。映画人生でこんな作品に出逢えることなんて、そうそうないと心から信じている。思い出の作品になったのは、間違いない。誰が何て言おうと、僕は傑作と言い切りたい。公開当時に何度も劇場に出向いたのは、忘れられない貴重な体験だ。僕にとっても、大きく衝撃を受けた作品になった。


ところで、本作『ラ・ラ・ランド』は、果たしてラブ・ストーリーなのか、ミュージカルなのか、観る人によっては様々な解釈になるだろう。僕は、最初はミュージカル映画として捉えていた。でも、蓋を開けてみると、これは濃厚な大人のためのラブ・ストーリーとなっていたのだ。人生の成功を味わない芸術家(表現者)志望の男女の出逢いが、ジャズの音色に彩られながら綴られている。本作の物語の顛末は、僕たち日本人にとっては賛否の分かれる構成になっているけど、果たしてあのラストが、ハッピーエンドだったのか、バッドエンドだったのかは、観る人の感性によって理解度が違ってくる少し捻りの効いた出来になっている。ただ、一周回って、やっぱり本作はミュージカル映画としての趣があると思っている。確かに、華やかなダンスの場面は数が少ないけど、本作には観る者を魅了する力が音楽シーンにあると思う。冒頭の渋滞したハイウェイ、パーティー会場、そしてラストの主人公の二人が再開する場面には、何度観ても心踊らされる。名作と呼ばれる作品は山ほどあっても、本作ほど感動したミュージカル映画に今まで出逢えただろうか。そんな事を思わせてくれる映画だ。


ただ、今回はもう少し変わった視点から本作について考えてみたい。上で書いた通り、本作の表の顔は愛と音楽で綴られたラブ・ミュージック映画だ。でも、この作品の裏にあるのは、表現者を志す若者たちの物語だ。夢追い人のための映画と言ってもいいだろう。役者とピアニストを目指す若き男女の人生を描いている。今、何かになりたいと頑張っている人や夢に向かって奮闘している人にぴったりの作品なのかも知れない。物語に登場する人物も、初めは下積み生活を味わう夢追い人。でも、人生で成功を手にするまでには、楽しいことも、苦しいことも、辛い決断も経験しないといけない。本作の主人公たちが、そう教えてくれているようだ。また、本作の監督は、作品に自身の心情を盛り込んでいるに違いない。彼も、当時は成功を夢見る一人の青年だった。前作が成功しても、ほんの少し注目を浴びただけだった。映画の祭典アカデミー賞の最高賞である作品賞を狙っていただろう。その思いが、本作の楽曲『Another Day Of Sun』の歌詞の一節に盛り込まれている。

I'm reaching for the heights
頂点を追い求めて
And chasing all the lights that shine
輝く光をずっと追いかける

もちろん、曲の全体が、夢見る人のために書かれた内容にはなっているけど、特にこの節には監督自身の高みを目指す彼の気持ちが反映されているようだ。


本作は、まさに夢を求める、夢を目指す人のために作られた映画だろう。そんな僕も夢追い求める人の一人。この映画を観る度に、いつも励まされている。10年に一度あるかないかの、傑作だ。
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チャイルド・プレイ
2019-08-09-Fri  CATEGORY: ホラー
『チャイルド・プレイ』

★★★★☆ 85点

ホラー度 80点


1988年公開から実に31年振りに、日本に再上陸した恐怖の人形チャッキー。通算8作目の本作『チャイルド・プレイ』は、1作目のリブート版(再起動版)。元のストーリーを土台にして、まったく新しい解釈で展開される本作。一言で言ってしまえば、SFホラーとでもしておきたい。この作品を観るならば、過去のシリーズとは切り離して考えるようにしよう。動く人形、襲う人形はそのままに、近代的なアプローチで、新たな恐怖演出をしている点が、今回の注目するところだろう。過去シリーズのファンからすれば、物足りないと訝しく思われる人もおられるでしょう。僕個人的には、まずチャッキーの顔。顔。顔。あの顔は、少し不気味すぎる。おっさん寄りに作られているようだけど、あの造形でよくゴーサインが出たなぁ、感心してしまうぐらい。初期とは似ても似つかない見た目に、最初は戸惑いを覚えてしまった。往年のファンか、すれば、本作を観るに当たって、まず新生チャッキーに慣れないといけない壁があるような気がする。


ただ、ベースとなる恐怖の対象は、前のシリーズからまったく変わってないと判断できる。殺人人形がどれだけ怖いか、この映画を観ている人は、誰もが知っていることだろう。でも、それ以上に怖いのは、人間だ。この点は、シリーズを通して一貫していると思っている。変わってない隠れたテーマでもあると思う。また、もう一点加わったのは、テクノロジーの進化だろう。世の中が、いかに便利であっても、制御できないAI(人工知能)を産み出してしまう人間は、一番愚かな生き物だ。本作では、暴走する殺人人形に振り回される主人公の少年アンディが、不憫でならない反面、観ていて自業自得ではないかと、内心思ってしまう。チャッキーを殺人マシーンに変えてしまったのは、主人公の行動にも問題があったのはではないかと思う。人形の前で言ってはいけない事を何度も口にする少年。忠実に実行するように設定されている人工知能は、子供たちの言動を真似て、恐怖の殺戮マシーンへと変貌してしまう。昔から口は災いの元と言う諺があるけど、本作はその通りと言うのか、一度口にした言葉は引っ込めることはできないことを身を持って、教えてくれているようだ。誰もが一度は、いや何度も、あの時言わなければ良かったと後悔する事があるように、物語は少年の不用意な発言のお陰で、思いがけない顛末へと転がって行く。


もうひとつ、本作で怖いのは、先ほど言った通り暴走する人工知能だ。あらゆる知識と偏った考えを吸収しながら、制御不能になるまで狂っていく姿に現実に起こりそうだと実感するだろう。最初の1作目では、ブードゥー教と言う宗教が作品のバックグラウンドにあったため、日本人には馴染みのない事柄だろう。でも、本作では宗教の内容を丸々カットして、独自の解釈(AI、人工知能)を取り入れている点が、本作の肝ではないだろうか?もしかしたら、近い将来、この映画のようなことが起こるかも知れないと考えた時、テクノロジーで動くチャッキーが生まれる可能性だってある。この事を念頭に置いて、作品を観て欲しい。最後に、本作を一言で例えるなら、SFホラーだ。このジャンルに尽きる。
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ブルース・ブラザーズ
2019-08-08-Thu  CATEGORY: コメディ
『ブルース・ブラザーズ』

★★★★☆ 80点

アクション度 70点


『ブルース・ブラザーズ』が、前々から名作と言うのは、知っていた。けど、今までまったく観たことがなかった映画。名作って、内容に触れなくても、何か突出したトピックを堪能するだけで、観た気にさせられる。例えば、映画の主題歌が、一人歩きしているような感じだ。作品のヒットと共に、楽曲が人気を得ることも少なからずよくあることだ。特に、80年代に製作された映画には、数多くのヒットソングが産み出されてきた。それは、信じられないほど多く、挙げれば切りがない。本作にも、有名になった主題歌がある。『Everybody Needs Somebody To Love』は、本編の一番の見所でもあるラスト・ステージで歌われる盛り上がる曲。学生時代から、この一曲ばかり聞いていて、今まで一度も映画を観ていないことに、今回初めて気付かされた。前から観たいと思っていたけど、なぜか観てなかったのは、不思議で仕方ない。ただ、有名なヒットソングを耳にするだけで、その作品世界に浸ることが出来てしまうのは、なぜだろうか?観た、観てない関わらずだ。だから、何を観ていて、何が観ていないのか、未だに分からない時がある。名作と呼ばれる多くの映画の頂点に君臨する作品は、観てなくても、観た気にさせてくれる。それが、映画の魅力のひとつなのかも知れない。


本作『ブルース・ブラザーズ』は、特徴は一言で言えばオーバー・ジャンルの作品だ。元はコメディと認識してもいいのだろうが、あらゆるジャンルが付け食われている。他に、カーアクション。ミュージカル。そして、ライブ映像が魅力的な音楽映画だ。コメディ面では、もうハチャメチャ。多くのエキストラを使った警察が群れる場面は、見所でもある反面、ツッコミどころのひとつだ。そんなこと、あるわけないと、つい思わず口に出してしまうことだろう。アクション面では、多くのパトカーを使用し、これでもかと、暴れまわるカーアクションシーンが、見所だ。コメディ映画なのに、車での激しい場面を用意してくれているのは、いかにもハリウッド映画らしい。何十人の警察官、何十台の警察車両が、画面上を行き来し、右往左往する姿は迫力があり、観応え十分だ。ただ、物語のベースには、意外な設定が用意されている。これだけ、アクションとコメディが融合されているにも関わらず、基盤となるのは人助けだ。主人公の兄弟が、昔育った孤児院の建て直しのため、そこに住む子供たちのために、大掛かりな音楽ツアーを催す。この映画は、この点が肝となっている。音楽と人助けが、メインとなり、彼らはヒーローなのだと思う。やっていることは、破天荒な行いばかり。でも、その根底には、路頭に迷う寸前の孤児を助ける救世主なのだ。どちらかと言えば、アンチヒローローに近い存在だ。


僕も、本作に登場する主人公2人のように、今を生きる子供たちに何かをしたいと思えた。映画を通して、何かを届けれるだろうか?今はそんな考えて頭がいっぱいだ。ただ、最後に言いたいのは、今の大作映画やヒーロー映画も十二分に面白いけど、本作のような昔の作品、特に名作も十分楽しめると知って欲しい。初めての観た僕が言うと説得力に欠けるけど、古臭いだの、何だの言う前に、まずは観て、体感して欲しい。古い映画だろうが、新しい映画だろうが、中身は同じだ。面白い映画版、何年経ってもちゃんと残る。人々の心の中で、記憶の中で消えることなく、留まり続ける。それが、名作と言うものだと思う。そういう作品を子供たちや、映画を知らない人にも観て欲しいと思う。
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愛と銃弾
2019-08-06-Tue  CATEGORY: ミュージカル
『愛と銃弾』

★★★☆☆ 70点

アクション度 75点


今回取り上げるのは、今までに観たことがないイタリア発ミュージカル映画『愛と銃弾』と言う作品についてだ。最初にミュージカルと言ってしまうと、劇中に歌って踊るシーンがあると思うだろう。確かに、ある。歌唱場面はあるけど、どちらかと言えば、ギャング要素(ノワール)とロマンス要素(ラブ・ストーリー)を全面に押し出した作品だ。ミュージカルは、映画を支える部分で、表の顔はアクションだ。そして、男女の恋沙汰がメインにもなっている。ただ初めに、今まで観たことがない、と言ったように、イタリア映画でミュージカルを取り入れた作品は、そうそう珍しい。それだけに、本作を観る価値はある。逆に、アクション場面も見応えはある。銃撃シーンは、ギャング映画らしく丁寧に作られている。血の量やマシンガンの使用など、ノワール作品には欠かせない部分にも注目したい。


映像面だけでなく、登場する人物の設定も、またいい。主人公の殺し屋は、目撃者の女性をマフィアから殺すように命じられてしまう。でも、その相手は、昔愛した女性。組織を裏切るか、愛を取るか、二者択一の中でどちらか一つを選ばないといけない主人公の殺し屋。組織と言うのは、実に面倒くさいものだ。縦社会の中で、上の言うことには、絶対に従わないといけない。正直、僕は会社と言う組織化された世界には属したくないと強く思っている。周囲に合わさないといけない窮屈さが、好きになれない。右向け右の精神に反発したくなる。協調性がないと言われれば、そうかもしれないけど、やっぱり自分の意思を強く持っていたい。組織の中で揺れ動く主人公には、同情してしまいそうだ。組織を選ぶか、自分のやりたいことを選ぶか。企業と言う狭く、堅苦しい世界で自分を押し殺すのか、その枠から飛び出して縛られない世界で伸び伸びとしてみたいと、思っている。


でも、やはり一番はミュージカルシーンが、見所だろう。なんせ、イタリア映画でミュージカルと言うのを聞いたことがないからだ。公開当時から観たかったけど、なかなか時間が合わず、やっと今回観れた。公開時からずっと注目していた本作。ハリウッドには、少し劣るが、歌唱シーンには、目が離せないインパクトがある。数分に一度は必ず差し込まれるミュージカルの場面と共に、組織で揺らぐ主人公の気持ちにも、共感できる作品だろう。
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